メッセージ

窓から見えた景色

飛行機からの夜明け

 

大学を卒業する直前の3月、僕はアメリカのサンフランシスコに向けて旅立った。ある目的をカタチにするために。

飛行機に乗ったのは15年ぶりだった。最後に乗ったのは記憶がある限り、小学生に入ったばかりだったと思う。離着陸のときのシートに締めつけられるような感覚が忘れられない、
12時間近かったフライト。でも、それは僕が思っていた以上に快適なものだった。美味しい機内食に笑顔が素敵なキャビンアテンダントたち。唯一キツかったのは、座席が想像よりも狭かったということ。体の大きな僕にとっては苦行に他ならなかった。

 

でも、そんなのを忘れてしまうような出来事が、機内の僕に起こった。

いつの間にか外は夜のようで、キャビンアテンダントたちが乗客にブランケットを配ってまわっている。機内も明かりが落とされ、僕も自然と眠ってしまった。

ふと目が醒める。辺りを見渡すと、どの乗客もまだ眠りについていて、どうやら起きているのは僕だけのようだ。座席に備え付けられたモニターを眺める。モニターには、機体の現在地が映し出されていて、もうアメリカ大陸に近いくらいだった。時間は朝の5時を過ぎていたくらいだったと思う。

窓側の席にいた僕は、あることに気がついた。下げられたシェードがうっすらと色づいていることに。不思議に思った僕はシェードを上げ、その光景に目を疑った。そこには、遠く、遙か先まで見渡せる水平線と、夜明けを迎える空が、深い青からオレンジに移り変わるまでの見事なグラデーションを作り出しているところだった。

飛行機が飛んでいる高度は上空11,000m。他に見える景色など何もない。今いるこの世界が、まるで僕が乗っている飛行機以外に無いのではないかと錯覚したほどだった。その景色にただただ圧倒されて、口が開きっぱなしだったのをよく覚えている。

我に返った僕は、もう2度と見られない景色かもしれないと思い、すかさずカメラを構えた。時間を追うごとに、地上の方から空に向かってオレンジの色が強くなっていく。空を包んでいた深い青が、日の出に圧倒されていく瞬間を僕は見届けていた。

地上では絶対に見られない景色を、僕は空と宇宙の間で見たんだ。それも、僕以外にこの景色を見ていた人は誰もいない。いるとすれば、機長と副機長くらいだろう。

幸せな気持ちで満たされた僕の心と体は、再び眠りに落ちた。

 

飛行機は遮るものなく、目的地の空港に滑り込もうとしている。到着まで30分を告げるアナウンスで、僕はまた目覚めた。ふと思う。あの景色は本当だったのかと。カメラをチェックすると、僕が見たのと同じ景色がそこに写し出されていた。

ほんの2、3時間前に見た景色が、ありありと脳裏に浮かんでくる。それはまるで、フィルムのネガのように焼きつけられたかのように。

飛行機が目的地の空港に着く。初めての海外に初めての大地。そこを足で踏みしめると、日本では見られない世界が広がっていた。

 

~続く~

 

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アキラ
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管理人のアキラです。 サイトタイトルの『ライフスタイルマガジン』を雑誌だと間違えてしまった方は、ごめんなさい。 「人生とは一冊の雑誌のようなものだ」 サイトのタイトルを考えていた頃、ふとこんなことを思いました。 人にはそれぞれ、様々なライフスタイルがあり、就職や結婚などのライフステージがあります。それらから得た経験や情報をまとめてできあがるものは、まるで一冊の雑誌のようだと感じたのです。 ならば、自分のライフスタイルという情報を、ブログを通じていろんな方に届けられたらいいなという思いで、ライフスタイルマガジンという名前のサイトを作ることにしました。 読書やCDが好きなので、それらの紹介など、皆さんの暮らしをワンランク豊かにできるような情報を書いた記事。そして、これまでのライフステージで経験した話、気づきや学びなどを記事にして発信していこうと思います。 今までと変わらず、気まぐれにいろんなことを書いていこうと思います。 更新頻度はそこまで高くない?かもしれませんが、自分のペースで続けていこうと思います。 あなたの暮らしに、少しでも当サイトがお役に立てますように。 それでは、ライフスタイルマガジンをどうぞお楽しみください!