ライフスタイル

星を探して。東京で美しい星空を一瞬でも眺めたあのとき。

ある夜のこと。その日は東京に台風が近づいていた。夜が深まれば深まるほど風が強くなり、風で家が揺れたり、物が壊れたりする音が聞こえていた。

こんな夜に何をしても仕方がないので、早めに眠りについていた気がする。今度は風で洗濯物が揺れる音で目が覚めた。
スマホの時刻を見ると、AM3:36を指している。いつの間にか6時間以上も寝ていたようだ。

窓を開けて外の様子を眺める。雨は降っていないようで、風だけが強い。そして、月明かりが綺麗な夜だった。
ふと、空を見上げてみる。僕の目に飛び込んできたのは、ここが本当に東京なのかと思うくらいに輝く星空。

その美しさに感心した僕は、もっと星空を眺めてみたいと思い、同居人を起こさないように注意しつつ、外に出た。
普段はいろんな人が道行くこの商店街も、この時間となっては猫一匹いない。まるで僕だけの街になったかのようだ。

南の空を見上げると、横に3つ、ひときわ輝く星がある。オリオン座だ。その近くに同じくらいに輝く星たちを結んであげると、冬の大三角ができあがる。なんで僕が星空や星座のことが分かるかって?
最近プラネタリウムに行って、解説員が言っていたことを覚えているから。まぁ、受け売りだけど……

そんなことはどうでもよくて、さっきから何かがおかしい。あれほど輝いて見えた星空が、思ったほど綺麗に見えないではないか。原因はすぐに分かった。

街灯だ。

ここは住宅街。ただでさえ狭い道の両脇に街灯が地面を照らしている。しかも、最近のそれは、LEDライトが使われているから、びっくりするくらいに明るい。でも、僕は周りに明かりがないところから東京の星空を見上げたかった。

僕は夜中に1人、そんな場所を探して、どんどん歩く。けど、どれだけ歩いても、そこには家の灯りや街灯が灯っていて、どこにも暗いところなんてなかった。もうどれだけ歩いたか分からない。それでも、僕は歩いた。近所の公園、広い駐車場に路地裏。

いろんな場所を1人歩いて、僕は気がついた。ないんだ。東京に光が無い場所は。いや、もしかしたら、僕が見落としているだけで、本当はそういう場所があるのかもしれない。でも、今、僕の近くにはない。

諦めがついた僕は、がっかりした気持ちで家路に着く。窓を開けて、さっきそこにあったはずの星空を見た。僕の目に映ったのは、同じ場所から見たはずなのに、初めの輝きなど何一つなかった。
僕は、プラネタリウムの解説員の言葉を思い出した。

「星は一切の光がないからこそ、輝いて見えるんです。もしどんな小さな明かりがあったり、その光が目に入ったりしたら……それだけで、星が本来持っている輝きを見ることはできないのです。」

僕は気づいた。あぁ、そうか。夜中に目覚めて、目に光が一切入っていない状態で星を見たから、輝いて見えたんだ。星を綺麗に眺められるところを探して街を歩いている間に、街灯の明るい光が僕の目に入っていた。だから、僕が気づかないうちに目が光に慣れてしまったんだと。

僕は後悔した。
「東京は星が見えないところだ」と、人はよく言う。そして、その言葉を耳にする。

でも、僕はその言葉が違うことに気がついた。見える数は違えど、東京でも美しい星空を楽しめることに。その輝きを目にできることに。
僕の今の楽しみは、東京で満点の星空を見上げられる場所を探すこと。そして、それを自分の目に映すことだ。

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アキラ
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管理人のアキラです。 サイトタイトルの『ライフスタイルマガジン』を雑誌だと間違えてしまった方は、ごめんなさい。 「人生とは一冊の雑誌のようなものだ」 サイトのタイトルを考えていた頃、ふとこんなことを思いました。 人にはそれぞれ、様々なライフスタイルがあり、就職や結婚などのライフステージがあります。それらから得た経験や情報をまとめてできあがるものは、まるで一冊の雑誌のようだと感じたのです。 ならば、自分のライフスタイルという情報を、ブログを通じていろんな方に届けられたらいいなという思いで、ライフスタイルマガジンという名前のサイトを作ることにしました。 読書やCDが好きなので、それらの紹介など、皆さんの暮らしをワンランク豊かにできるような情報を書いた記事。そして、これまでのライフステージで経験した話、気づきや学びなどを記事にして発信していこうと思います。 今までと変わらず、気まぐれにいろんなことを書いていこうと思います。 更新頻度はそこまで高くない?かもしれませんが、自分のペースで続けていこうと思います。 あなたの暮らしに、少しでも当サイトがお役に立てますように。 それでは、ライフスタイルマガジンをどうぞお楽しみください!